義母がマンションで一人暮らしを始めてしばらく経った頃、 少しずつ身体機能の低下が目立つようになっていきました。 特に印象に残っているのは、膝の上がり方です。 以前に比べて明らかに足が上がらなくなっていて、歩き方にも不安定さが見えるようになってきました。 ちょっとした段差や動作の一つ一つに、以前とは違う危うさを感じるようになったのです。
「年相応の衰え」では済まないと感じ始めた
年齢を重ねれば身体機能が少しずつ落ちていくのは自然なことです。 ただ、その頃の義母の変化は、「年相応の衰え」というだけでは済まないように見えました。 このまま一人で生活を続けるのは、さすがに難しいのではないか。 そんな思いが、だんだん強くなっていきました。
はっきりと危機感を持ったのは、たしか2023年8月頃のことです。 動き方がおかしく、このままでは一人暮らしはもう限界ではないかと感じました。 転倒や生活の破綻が現実のものとして頭に浮かぶようになり、 家族だけで様子を見る段階ではないと思いました。
区役所へ相談に行った——地域包括支援センターへのつながり
そこで私(みどり)は、夫と一緒に区役所へ相談に行きました。 それまでにも心配はしていましたが、この時はもう、 具体的に外部の支援につなげなければいけないと思ったのです。
区役所で相談すると、高齢者支援の窓口につないでもらいました。 当時は名称をあいまいにしか覚えていませんでしたが、 今振り返るとおそらく地域包括支援センターのような窓口だったと思います。 こうした窓口は、高齢者の相談を受け、必要に応じて介護サービスや 制度利用につなぐ役割を担っています。
- 市区町村が設置する高齢者の総合相談窓口
- 介護・医療・福祉の専門職(社会福祉士・保健師・ケアマネジャーなど)が在籍
- 介護保険の申請手続きのサポートも行う
- まず区役所に「高齢者の相談がしたい」と伝えれば案内してもらえる
ケアマネジャーが入り、支援の体制が整っていった
窓口でのやりとりを経て、少しずつ介護の体制が整っていきました。 ケアマネジャー(介護支援専門員)さんが入り、 利用できるサービスを一緒に考えてもらうようになりました。 義母の状態を見ながら、どのような支援が必要か、 どこまでを外部サービスで補うべきかを整理していったのです。
家族だけで抱えていると、何をどこから始めればいいのか分からなくなりがちですが、 間に専門職が入ってくれることで、 現実的な段取りが少しずつ見えてきました。
デイサービスとホームヘルパー——外の力を借りる決断
その中で、まず通うことになったのがデイサービスでした。 家にこもりきりにならず、日中に人と関わり、身体を動かす機会を持つことは大切だと考えました。 家族がただ「動いた方がいい」と言うだけでは難しいことでも、 デイサービスという場があることで、生活のリズムや活動のきっかけを作ることができました。
また、ホームヘルパーさんにも入ってもらうようになりました。 掃除、身の回りのこと、ちょっとした支援——そうしたものを、 必要な範囲で外部の手を借りるようにしました。 どの事業所を利用するかについても、ケアマネジャーさんの助言を受けながら進めました。
「ケアマネジャーさんの言う通りに動いた」という部分も正直ありました。 でもそれは主体性がなかったということではなく、 自分たちだけでは分からないことを、分かる人に導いてもらったということ。 介護の専門家に頼ることは、家族の責任を手放すことではないのだと気づきました。
「家族だけで頑張る」には限界がある
振り返ると、この時期は私自身の意識も大きく変わった時期でした。 それまでは「家族が何とかしなければならない」と思っていた部分がありました。 でも実際には、親の状態が一定の段階を超えると、 家族だけで支えるのには限界があります。
見守りにも、通院にも、日常生活の支援にも、継続して関わるには 時間も体力も必要です。しかも家族は、介護の専門家ではありません。 そういう時に、行政の窓口やケアマネジャー、デイサービス、 ホームヘルパーといった仕組みにつながることは、 とても大きな意味がありました。
「限界が来てから慌てる」前に動いてよかった
義母の一人暮らしを支える中で感じたのは、 「限界が来てから慌てる」のでは遅いということでした。 少しでも異変を感じたら、早めに相談する。 家族だけで抱え込まず、行政や専門職につなぐ。 そうすることで、本人にとっても家族にとっても、まだ選べる手段が残ります。
実際、相談に行ったことで、デイサービスやホームヘルパーといった具体的な支援につながり、 義母が完全に孤立した状態になるのを避けることができました。
介護というと、家族の献身や覚悟が語られがちです。 もちろんそれも大切です。けれども実際には、 必要な時に外へ助けを求めること、制度を使うこと、専門職に頼ること も同じくらい大切です。むしろ、それができるかどうかで、その後の暮らしは大きく変わると思います。
自分だけで何とかするのではなく、支える仕組みの中に本人をつないでいくこと。 それは、家族として責任を放棄することではなく、 現実に即した支え方を選ぶことだったのだと思います。